おしらせ


2017/08/03

Leitz 22232 x Techart LM-EA7

私は最近テックアート(Techart)のAFアダプターLM-EA7をSony A7Riiにとりつけ、オールドレンズをAF化して撮影を楽しんでいる。40代も半ばになると動体視力が衰え、老眼が始まるなどMFレンズでの撮影が厳しさを増してくる。そんな中、AFアダプターの登場はとても嬉しい知らせとなった。今回はAFアダプターLM-EA7との組み合わせて使用できる、おススメのマウントアダプターを1本紹介したい
ライカ純正のM42-LMアダプター。無限遠もok!
Leitz 22232 M42-Leicina M adapter x Techart LM-EA7
ライカが自社のカメラにM42レンズをマウントするための純正アダプターを出していた!。そんなことあり得るのだろうかと耳を疑いたくなる話だが、実はホントのことで、製品名はLeitz 22232である。このアダプターはライキナスーパー(Leicina Super)というMマウント(厳密にはライキナMマウント)の8㎜ムービーカメラにM42レンズを装着するためのアクセサリーとして、ライツが1970年代に供給していたものだ。ライキナのマウント部はライカMマウントと同一であるがフランジバックは0.1mm短く、このアダプターでM42レンズをライカのスチルカメラに装着しても、無限遠のフォーカスをギリギリのところで拾うことができない。しかし、0.1mmはわずか紙一重分なので、この程度ならTechartのLM-EA7はもちろんのこと、オーバーインフ気味に作られている中国製アダプターとの組み合わせの多くで、無限遠のフォーカスを問題なく拾える。このアダプター、実は使えるアイテムなのだ。
Leitz 22232 M42-LM(Leica M) ADAPTER: 重量(実測)50g, レンズ側 M42x1mm(Praktica/Pentax thread), カメラ側 Leica Mマウント, Leicina Super(8mm movie camera)用, 鏡胴内は内面反射塗料が塗布され、遮光線が切ってあり、光の反射を抑える仕様になっている。ドイツ版ebay にて99ユーロ+送料で入手した



私が所持しているレンズ資産の中でM42レンズは大きな勢力なので、M42-LMアダプターはAFアダプターの次に入手しなくてはいけない必須アイテムなのだが、現在市場で手に入る製品を見回すと中国製ブランドのKiponがLM-EA7に正式対応したアダプターを出している。日本製のrayqualブランドは工作精度の抜群に良いアダプターであるが、LM-EA7への対応は不明で、ユーザーからの報告も今のところ見当たらない。そうした中でrayqualに決めようか検討していたところ、今回のアダプターの存在を知り、面白そうなので入手することにしたのだ。
実はLM-EA7に組み合わせるアダプターを選ぶ際に注意しなければならないことが一つあり、モーターカバーへの干渉である。LM-EA7はレンズ側にモーターカバーが飛び出しているため、鏡胴径の太いマウントアダプターではこの部分に引っかかってマウントすることができないのだ。鏡胴径の小さな細身のアダプターなら何ら問題のないことではあるが、何でもよいというわけではないので、事前に対応をよく調べる必要がある。
今回手に入れたLeitz 22232は鏡胴が細身なうえライツブランドなので造りがよく、工作精度もたぶんよい。鏡胴内にはまともな反射防止塗料が使われており、安価なアダプターを用いるよりもハレーションの発生量は少ない。LM-EA7との組み合わせにおいてもガタつきは全くない。とてもおススメのアイテムだ。ebayでの購入額は99ユーロ+送料と高級アダプターと変わらない額で手に入った。相場は不明だがドイツ版eBayには自分が手にいれた個体以外に4~5個出ており、値段は100~250 ユーロ程度であった。
マニアやプロがアダプターの工作精度に拘るのは、サードパーティーのアダプターを介することによる光軸からの偏芯を極力抑えたいためで、これはレンズ本来の力を維持するために重要なことなのだ。工作精度の高い日本製アダプターが支持されるのはこうした理由からによる。ただし、工作精度が一般的な中国製アダプターの10倍であることが実写においてどれだけ意味のある効果を生むのか、ここについてはもっと踏み込んだ検証結果をアダプターメーカーや関連の専門紙が示してゆく必要がある。単なる気休めや幻想ではないということを示さなければ、本物思考のマニア達の心はいずれ離れて行く。日本のアダプター製品が世界のみならず、国内市場においても安価な中国製アダプターに飲み込まれてしまうのは、まさにその時なのであろう。私は日本人なので、そうなってほしくはない。アドバンテージはとても小さいのかもしれないが、それでもアドバンテージを示すことには幻想を打ち破る大きな意味があるのだと思う。これは重要なこと。だって、みんなメード・イン・ジャパン好きでしょ?

(2017年12月追記)
rayqualブランドのアダプターで知られる宮本製作所がアダプターの工作精度と画質の関係を公式ページに掲示してくれました。アダプターに0.2mm(紙一枚分)の傾きがあるだけで、写真の四隅における画質の低下が目立っています。
rayqualのアダプターは工作精度が抜群に高く、ガタのない気持ち良いアダプターをつくっており、レンズの無限指標のところで無限遠のフォーカスを精密に拾うこともできます。アダプターを何枚か組み合わせるとわかりますが、工作精度の低いアダプターでは装着したレンズにガタつきが目立ち、光軸ズレを起こしているため、レンズ本来の性能を発揮できません(こちらのページ参照)。工作精度の低いアダプターは安価な製品に多く見られます。
私はrayqualとコシナのつくるフォクトレンダーブランドのアダプターが大好きで、両ブランドのアダプターを何枚か所持しています。もちろん安価なブランドもいろいろ使っていますが、rayqualの記事を見て使いまわしの効くアダプターにこそお金をかけなければならないという思いがますます強くなりました。rayqualブランドは価格的にも勝負しているところがスバラシイと思います。

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