おしらせ


2017/08/16

AIRES Camera Tokyo, CORAL lenses(AIRES 35-V mount) part 0:Prologue


アイレスカメラが1958年に発売した最高級機Aires 35-V。旧西ドイツのフォクトレンダー社がかつて生産したプロミネントを彷彿とさせる、レンズ交換の可能なビハインドシャッター機である。シャッターにはこのクラスにしては大型のセイコー社製0番シャッターが搭載され、交換レンズ群には広角で4枚構成のW Coral 35mm F3.2, 6枚構成のH Coral 45mm F1.9とH Coral 45mm F1.8, 7枚構成のS Coral 45mm F1.5, 望遠で5枚構成のTele Coral 100mm F3.5が供給されている[1]
 

アイレスカメラの高速標準レンズ 
part 0 (プロローグ) 
かつて、東京にはアイレス(正式名:アイレス写真機製作所)という名の小さなカメラメーカーが存在した[2]。1950年から1960年の僅か10年間で自社ブランドのレンズはもとより、中判二眼レフカメラ、35mmレンジファインダー機、一眼レフカメラなど一貫生産で何でも作ったメーカーだ。AIRES(アイレス)という名はスペイン語の「風」または「空気(エア)」という意味からとったとされている。10年の歳月を風のように猛スピードで駆け抜け、ユーザーの要求を全てみたした一台の名機Aires 35-V(写真)を送り出したものの、採算が取れずに命取りとなって倒産したのだ。このカメラにはコーラル(Coral)という美しい名(珊瑚の意味)の交換レンズ群が供給された。中でも高速標準レンズにはフォクトレンダー社の銘玉ノクトン(Nokton)を手本に設計されたSコーラル45mmF1.5や、シュナイダー社のクセノン(Xenon)を手本に設計されたHコーラル45mm F1.9/1.8など、魅力溢れるラインナップが揃っていた。本ブログでは数回にわたりAires 35-Vの高速標準レンズを取り上げる。

参考文献
[1] Camera New Product Report, Aires 35-V, 1958
[2]「アイレスのすべて」~アイレスカメラの歴史~ 萩谷剛 クラシックカメラ専科No.22(朝日ソノラマ)

なお、アイレス35-Vの交換レンズを各種ミラーレス機で使用するためのマウントアダプターが存在する。米国のある個人工房がeBayにソニー用とフジ用の改造品を若干数出しているのだ。この工房はペトリやミランダ、アーガスC44/C3、フトゥーラ、ペンティナ、プラクティナFXなどの交換レンズをミラーレス機で使用できるようにするニッチな改造アダプターを作っており、他にもFastax用やUV Topcor用、Norita66用、M37-M42変換リングなど面白い商品を出している(品質には要注意)。値段はAires 35V--SONY Eアダプターが90ドル(送料別)であった。毎回、若干数のみが出品され、供給量は安定していない。オークションブースに出品がない期間もあるので、そういう時には気長に待つ必要がある。
 

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