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2017/06/13

illumina Opt. illuminar (試作品) 25mm F1.4(C-mount) Rev.2


イルミナーをAPS-C機で試す
illumina opt. illuminar ペリドット(試作品) 25mm F1.4 x fujifijm x-pro1
「宝石レンズ」の異名を持つイルミナー(illuminar)は、内部に埋め込まれた「宝石」の輝きを写真に活かす、全く新しい発想から生み出されたレンズです。宝石を通り抜け乱反射する光からは幻覚にも似た素晴らしい写真効果が得られるため、カメラ女子を中心に今にもブレークしそうな兆候が出始めています。本ブログでは昨年10月にレンズの試作品を手に入れ記事として取り上げましたが[1]、ここ最近になってデジカメWatchの連載記事「デジカメドレスアップ主義(澤村徹さん執筆)」にも取り上げられ、注目度はますます上昇しています[2]。今回のブログエントリーではAPS-Cセンサーを搭載したミラーレス機でのイルミナーの使い方と実写結果について、まとめることにしました。

供給元のイルミナオプトはレンズを使用するカメラとして、オリンパスやパナソニックなどのマイクロフォーサーズ機を推奨しています[3]。マイクロフォーサイズ機で使用した場合、写真の四隅が暗くなる「周辺光量落ち」のバランスが絶妙で、とても印象的な写真が得られるという理由からです。一方、一回り大きなAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラでは光量落ちが過度になり、四隅がトンネル状に切り取られ、完全なダークコーナー(暗角)になってしまいます。しかし、この問題を回避する方法がありました。FUJIFILMやEOS Mシリーズなど一部のAPS-C機ではカメラの設定メニューで写真のアスペクト比を変え、画像の四隅を切り落とすことができます。たとえばアスペクト比を1:1に変えてやれば写真の対角線長は22mmとなり、マイクロフォーサーズセンサーの対角線長21.6mmとほぼ同等なので、問題なく使用できるわけです。ただし、周辺部光量落ちの様子には若干の差異が生じるはずですから、実写による検証は不可欠です。アスペクト比1:1での撮影結果についてはイルミナオプトにもデータがなく、是非とも検証してほしいそうです。

今回の記事ではFUJIFILMのAPS-C機X-PRO1をアスペクト比1:1の設定で用いて、イルミナー(ペリドット)とカメラの相性をチェックしてみました。カメラへの装着にはCマウントレンズ用のアダプター(C-FX アダプター)を介しています。

参考文献・資料
[1] M42 MOUNT SPIRAL: 2016.10.25ブログエントリー
[2] デジカメWatch連載記事「デジカメドレスアップ主義(澤村徹さん執筆)」:フレアが弾ける宝石レンズ
[3] illumina opt. illuminar lens公式ページ

F2.8, FUJIFLM X-Pro1(WB:蛍光灯1, アスペクト比1:1) イルミナー(ペリドット)では波紋状の乱反射が発生する。イルミナー(アメジスト/ブルートパーズ)では見られなかった効果だ


F2.8, FUJIFILM X-PRO1(AWB,  アスペクト比1:1) 周辺光量落ちの様子はマイクロフォーサーズ機での使用時ほど絶妙ではないものの、悪くないレベルだ

F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) 蛍光灯の光に反応し、宝石色(緑色)に「色被り」を起こしている

FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) イルミナー(ペリドット)は乱反射が強めに出るのが特徴で、このような波動状の発行体が出せる

F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) ペリドット凄し!
F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) フレアは四隅にモスグリーンのような色で発生する
上の写真作例から明らかなように、APS-C機でもイルミナーを充分に活用できることがわかります。アスペクト比を1:1に変更することでローライフレックスやハッセルブラッドなど大昔の中判カメラで撮ったものと同じ真四角の写真になっています。この場合、縦も横もありませんので人により好き嫌いがハッキリと分かれるのではないかと思われます。私は勿論、真四角の写真も大好きです。インスタグラムとの相性はとてもよいでしょう。

イルミナーは2017年6月1日の正式版の発表とともにホームページが開設され、現在は6月20日の発売にむけ準備が進められているそうです[3]。鏡胴のバリエーションはシルバーとブラックの2種で、購入者はホームページ上の選択メニューでアメジスト、ブルートパーズ、ペリドットの3種類の天然石のいずれかを選択し、イルミナオプトに改造依頼を申し込みます。価格は1本19800円(税抜き)です。本記事を書く段階では製品版がありませんでしたので、撮影テストには試作品を借用しました。

2016/10/25

illumina opt. illuminar(イルミナー) 25mm f1.4 c-mount 宝石レンズ



ゴーストとハレーションを操る魔法使い
宝石レンズ illuminar(イルミナー) 25mm f1.4
イルミナー(illuminar)は東京近郊で毎月開催されている「上野由日路x伊藤弘オールドレンズ写真学校」のスタッフが好奇心と遊び心で考案した改造レンズです。光学系の内部には何と宝石(ジェムストーン)が据付けられており、レンズに取り込まれた光の一部をセンサーの手前でスパークさせる効果があります(下図)。レンズの絞り冠をコントロールすることで、写真には宝石色に色づいた美しいハレーションやオーロラのカーテンような発光体、プリズム状のゴースト、リング状の不思議なボケなど様々な特殊効果が現れます。写真学校の生徒の間で瞬く間に人気となり、「宝石レンズ」の愛称で呼ばれるようになりました 。今最もエポックメーキングなレンズの一つであるイルミナーの魅力を、本ブログで取り上げてみたいと思います。
イルミナーを使用できるカメラはオリンパスPENシリーズやパナソニックGHシリーズなどマイクロフォーサーズセンサーを搭載した機種で、Cマントレンズ用のアダプターを介して搭載します。フジなど他のミラーレス機にもCマウント用のアダプターを使い搭載することはできますが、レンズのイメージサークルはAPS-Cフォーマットをカバーしていませんので、そのまま撮影すると写真の四隅に暗い部分(ダークコーナー)が発生してしまいます。これを回避するため、カメラの設定メニューで画像のアスペクト比を1:1(正方形)など一回り小さなイメージフォーマットに変更して使用することになります。ただし、周辺部の光量落ちは僅かに残ります。
このレンズのアイデアを考案した写真学校のスタッフによると、石のサイズやカッティング、据え付ける位置、ドナーとなるレンズの種類や最適なイメージサークルなどに対する試行錯誤を重ね、石の効果が最もよくあらわれる組み合わせに辿り着いたのだそうです。レンズは写真学校の講師陣による検証とフィードバックを繰り返し、2015年9月にサファイアを埋め込んだプロトタイプの第一号が完成、その後、ルビー、アメジストなどにバリエーションを広げ、現在のラインナップに至っています。
イルミナーシステムの概念図(上方が前玉・被写体側で下方がカメラ側)。宝石に照射される光の量を絞り羽の開閉でコントロールするという独創的な機構を備えている。光は宝石のカッティング面で屈折し、レンズ内をスパークする
イルミナーに設置される石には天然石のアメジスト(紫)、ペリドット(緑)、シトリントパーズ(黄)、ブルートパーズ(水色)、合成石のサファイア(青)、ルビー(赤)、ジルコニア(無色)など7種類のバリエーションがあります。石の相性や好みは人それぞれで、写真への効果も異なりますので、できれば試写してから入手するのがよいでしょう。ちなみに写真学校の上野先生はアメジスト、伊藤先生はブルートパーズ、上岡先生はジルコニアをイチオシですすめていました。写真表現の新たな可能性を模索する人々が辿り着いた画期的なアイデア商品ではないでしょうか。同学校は2016年10月に原宿で開催したワークショップ「オールドレンズフェス」の中でイルミナーの体験イベントを実施しています。カメラをぶら下げた外国人旅行者にイルミナーは大変な人気だったようです。

入手の方法
もともとは都内近郊で毎月開催されている「上野由日路x伊藤弘オールドレンズ写真学校」で参加者にレンタルし、気に入った方に個人売買のレベルで販売していました。また、恵比寿の大沢カメラの店頭でも委託販売がおこなわれていましたが、2017年6月に公式ホームページ(こちら)が開設され、一般の方への販売がはじまっています。一本一本、手作業で宝石を設置しているハンドメイドの改造レンズですので、工業製品のような0.1mm単位の品質精度を保証することはできないそうです。鏡胴のカラーバリエーションはシルバーとブラックの2色があります。

撮影テスト
内部に埋め込まれた宝石の効果を引き出すには少し工夫が必要で、昼間ならば強い光がレンズに斜め前方から入る「半逆光」の条件で撮影するのが効果を引き出す最適な条件です。太陽光の反射や照明光などの位置関係を考慮し、宝石を上手に光らせるのが撮影時のコツです。絞りを全開にすると普通に写るレンズですから、まずは開放でピントを合わます。その後、絞りをコントロールして宝石の効果を発生させ、シャッターチャンスを探ります。絞りは閉じるほど宝石の効果は強くなりますが、絞りすぎると被写界深度が深くなり、宝石が写真の中央にうっすらと写ってしまいますので、適度な絞り加減が重要です。夜間撮影の場合には照明を拾うだけで比較的簡単に宝石の効果が現れます。効果が強すぎる場合には絞りを開け、宝石に送り込む光量を調整します。
illuminar(Sapphire) + PEN E-PL6, photo by H. MAKINO


illuminar(Sapphire) + PEN E-PL6, photo by H. MAKINO

illuminar(Sapphire) + PEN E-PL6, photo by H. MAKINO

illuminar(Sapphire) + PEN E-PL6, photo by H. MAKINO



 
Photographer Yoshihiro Ueno

illuminar(RUBY)+ PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno 

illuminar(AMETHYST) + PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno

illuminar + PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno

illuminar(AMETHYST) + PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno

illuminar + PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno

illuminar + PEN EP3, photo by Yoshihiro Ueno

Photographer Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar (Ruby) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar(zirconia) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka 

illuminar (BLUE-TOPAZ)+ PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (zirconia) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar (RUBY) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

illuminar + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (zirconia) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka
illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Ema Ueoka

Photographer Hiromu Ito

illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito


illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito

illuminar (BLUE-TOPAZ) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito





illuminar (AMETHYST) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito
illuminar (Blue-Topaz) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito
illuminar (Blue-Topaz) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito
illuminar (Blue-Topaz) + PEN EP3, photo by Hiromu Ito
illuminar+ PEN EP3, photo by Hiromu Ito



 Photographer M. Kurumi(7歳 小学生)

7歳の娘が昨年撮影した写真です。宝石レンズのイルミナーをPENにつけて撮影しました。娘はまだピント合わせが上手にできませんが、このレンズの力を借りると写真になってしまうのは不思議なものです。
illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi

illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi

illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi

illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi

illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi

illuminar (amethyst) + PEN E-PL6, photo by M. Kurumi





あくまでもイルミナーは特殊レンズですので、カメラに付けっぱなしにして常用するのではなく、普段はごく普通に写る他のレンズを使い、ここぞというときに「伝家の宝刀」のように取り出すのが正しい使い道のように思います。

参考
illumina opt. 公式ページ
instagram #宝石レンズ