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2020/04/13

ELGEET CINE NAVITAR(GOLDEN NAVITAR) Wide Angle 12mm F1.2




非球面を採用した史上初の市販レンズ
Elgeet Cine Navitar Wide Angle 12mm F1.2
米国Elgeet社(現Navitar)のCine Navitar(シネ・ナビター)は通称Golden navitar(ゴールデン・ナビター)とも呼ばれる16mmフォーマットの明るい中口径・広角シネレンズです[1]。1956年に登場したこのレンズは同社の他のモデルにはないゴールドの装飾帯が施されゴージャスな箱に納めらるなど、別格扱いされました。このモデルの何が別格なのかというと、実は市販された製品としては世界て初めて設計構成に非球面を採用した先駆的なレンズなのです[2]。設計構成は下図のような9枚構成の豪華なレトロフォーカス型で、最後群の赤で着色したレンズエレメントに非球面が採用されています。非球面の加工には膜研磨技術(Membrane polishing)という工法が用いられたそうですが、コストのかかる方法でした[3]。市販価格はたいへん高かったものと思われます。
非球面は大口径レンズにおける球面収差の補正と超広角レンズやズームレンズにおける歪曲収差の補正に大きな効果があり[4]、絞りを開放に近づけるほど大きなアドバンテージか得られます。ただし、深く絞る際は球面のみで構成された光学系の方が性能的にやや有利なようです。
イメージサークルは16mmフォーマットのシネレンズにしては広く、Nikon 1で使用できることは勿論のこと、マイクロフォーサーズ機でも撮影モードを3:4に変えればギリギリでケラレを回避できます。Nikon 1では35mm判換算で焦点距離35mm相当、マイクロフォーサーズ機(3:4モード)では焦点距離28mm相当の立派な広角レンズです。どんな写真が撮れるのか、ますます楽しみになってきました。

  
Cine Naviter 12mm F1.2の構成図。文献[2]に掲載されていたものからのトレーススケッチです。左が被写体側で右がカメラの側で、最後群の赤で着色したレンズエレメントに非球面が採用されています
  
Elgeet光学
Elgeet(エルジート)1946年に3人の若者(Mortimer A. London, David L. Goldstein, Peter Terbuska)が意気投合し、ニューヨークのロチェスターに設立した光学機器メーカーです。LondonKodak出身のエンジニアでレンズの検査が専門で、GoldsteinTerbuskaはシャッターの製造メーカーで知られるIlex社出身でした。3人は少年時代からの友人で、Elgeetという社名自体も3人の名の頭文字(L+G+T)を組み合わせたものです。彼らは1946年にアトランティック通りのロフトに店舗を開き、はじめレンズ研磨装置のリース業者としてスタート、すぐ後にレンズの製造と販売も手がけるようになりました。会社は1952年に300人弱の従業員を抱え、数千のシネマ用レンズ(8mm16mmムービーカメラ用)や光学機器を年単位で出荷する規模にまで成長します。この時点で3人の役職はGlodsteinが社長、Terbuskaが秘書、Londonが財務部長でした。プロフェッショナル向けの廉価製品を供給するというスタイルが成功したのか事業規模は順調に拡大し、1954年には米国海軍(US Navy)にミサイル追尾用レンズNavitarの供給を行うようにもなっています。更に同社は1960年頃からNASAや国防総省との関係を強めてゆきますが、この頃から会社の経営は立ち行かなくなります。同時期に筆頭創設者のLondonが退職し、その2年後に同社は一時ドイツ・ミュンヘンのSteinheil社の所有権を獲得するものの直ぐに売却。2年後の1964年には株主総会が会社の再編を勧告し、Goldsteinは社長の座を追われています。株主総会から新社長に任命されたのはAlfred Watsonという人物ですが、それから2年後に会社の資本は株式会社MATI(Management and Technology Inc)に吸収されています。なお、MATI社は1969年まで存続し消滅、Goldsteinはこの時にMATI社が保有していた資産の一部を購入し、D.O.Inc. ( 株式会社Dynamic Optics )を創設しています。しかし、この新事業は軌道に乗らず失敗し、新会社は1972年に閉鎖となっています。Goldstein1972年に改めてD.O.Industries Dynamic Optics工業社 )を設立し、事業を再々スタートしています。同社は1978年にNavitarのブランド名でスライドプロジェクター用レンズを発売し、1994年に顕微鏡用ズーム・ビデオレンズの生産にも乗り出しています。会社は1993年に株式会社NAVITARへと改称。1994年にはGoldstein2人の息子JulianJeremyが父Davidから会社を購入し、兄弟で会社の共同経営にのりだしています。2人はどちらも日本在住の経験があり日本語を話すことができます。Jeremy1984年と1985年に日本のKOWA(興和光学)に出向し、レンズの製造技術と経営学を学んだ経験があります。Navitar社はライフサイエンス関連の光学機器と軍需光学製品を製造・販売するメーカーとして今日も存続しています。

参考文献・資料
[1] NAVITAR社ホームページ:About navitar
[2] A History of the Photographic Lens(写真レンズの歴史) Kingslake (キングスレーク) 著
[3] Wikipedia: Aspheric lens
[4] カメラマンのための写真レンズの科学 /吉田正太郎
 
ELGGET CINE NAVITAR Wide Angle 12mm F1.2: 最短撮影距離 1feet(約30cm), 絞り F1.2--F16, フィルター径 38.5mm, 構成 7群9枚レトロフォーカス型, Cマウント, 発売年 1956年
 
入手の経緯
レンズは201910月にeBayを介し米国の個人出品者から100ドル+送料で落札しました。オークションの記載は「ガラスは綺麗でヘリコイド、絞りリングの回転はスムースだ。写真で判断してくれ」とのことで、安い!と思って飛びつきました。届いた個体はガラスのコンディションこそ良好でしたが、絞りに修理できない不良があり絞り羽根を除去、ヘリコイドがカッチンコッチンに重かったのでグリースを交換、ここまでしてどうにか使用できる状態となりました。米国では200ドル~300ドル程度で売られていますが、日本では認知度が少ないこともあり、決まった相場はありません。
 
撮影テスト
このレンズは広角レンズとして設計されています。Nikon 1(Super 16フォーマット)では35mm判換算で35mm相当の焦点距離となりスナップ撮影に最適な画角となります。またマイクロフォーサーズ機の撮影フォーマット3:4で用いる場合には焦点距離28mm相当となり、遠近感を誇張させるダイナミックな写真にも対応できます。F1.2という非常に明るい口径比を考えると大変優秀なレンズで、非球面を採用した効果が出ています。中央はとても緻密で解像力があり線の細い繊細な描写で、歪み(樽状の歪曲)も16mmシネマ用レンズとしてはたいへん良く補正されています。この時代のレトロフォーカス型レンズはコマフレアの補正に重大な課題を残しており、本レンズも開放ではハイライト部が滲んで軟調気味になります。ただし、コントラストを大きく損ねる程の影響はなく、オールドレンズとして捉えるならば、この程度の軟調さはかえって良い味となります。逆光には強く、レトロフォーカス型レンズでは定番のゴーストも、このレンズの場合には全く見られません。ボケは概ね安定しており、グルグルボケが大きく目立つことはありません。


Olympus PEN E-PL7(WB:auto)
 Aspect ratio 3:4(35mm換算で約28mm相当の焦点距離)
 
F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto)
F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto)
F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) 驚いたことにマイクロフォーサーズ機の3:4モードでケラレなく使えました。35mm換算の焦点距離は28mmと立派な広角レンズです







F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto)拡大すると薄いフレアが見られるものの解像力は良好で線の細い描写です

F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) コントラストは良好です

F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) 

F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) 
F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto)近接撮影時の方がコントラストは良好でシャープです
F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) 

F1.2(開放) Olympus E-PL7(Aspect ratio:3:4, WB:auto) 逆光につよくゴーストはあまり出ません
 
   
Nikon 1 J2(WB:日光日陰)
 Aspect ratio 3:4(35mm換算で約28mm相当の焦点距離)
 
続いてNikon 1 J2での撮影結果です。このカメラには16mm映画用レンズのイメージフォーマット(Super 16)とほぼ同じ大きさの1インチセンサーが採用されており、この種のレンズには唯一無二の存在です。ただし、アダプターを介して社外レンズを使用する場合には本来備わっている露出計や拡大ピント合わせ機能が無効になるなど意地悪な仕様のため、オールドレンズユーザ達から総スカンを食らっているカメラです。実用性を確保するには海外で流通しているエミュレーションチップ搭載のアダプターを手に入れて用いるのが有効です。
  
F1.2(開放)  Nikon 1 J2(WB: 日光日陰)近接時には少しグルグルボケが出ます

F1.2(左右とも開放)  Nikon 1 J2(左右ともWB: 日陰)近接時はやはりフレア少な目ですね
F1.2(開放)  Nikon 1 J2(WB: 日陰)ここまで近いのに依然としてボケは硬めですね。まったくケラれません














2013/06/25

Elgeet opt. MINI-TEL 100mm(4inch) F4.5






シネマ用レンズの専門メーカーとして知られる米国elgeet社。MINII-TELは同社が1950年頃に生産した望遠レンズである。真鍮削りだしの鏡胴はどこから見てもシネマ用にしか見えないが、実はこの製品は同社唯一のスチル撮影用モデル(35mmフルサイズフォーマット)なのである。プロフェッショナル向けの製品規格に準拠した豪華な造りである。

エルジート社唯一のスチル撮影用レンズ
Elgeet光学(現NAVITAR社)は米国ニューヨーク州に拠点を置き、シネマ撮影用レンズ、シネマプロジェクター用レンズ、スライドプロジェクター用レンズ、顕微鏡用レンズ、Ⅹ線撮影用レンズ、ミサイル追尾システム用レンズ(米国海軍向け)などを製造していた光学機器メーカーである。1955年にシネマ用のGolden Navitar 12mm F1.2を発売し、世界で初めて非球面レンズの量産を実現したことで知られている。今回紹介するMINI-TEL(ミニテル) 100mm F4.5はElgeet社が1950年頃に生産したトリプレット型の望遠レンズである。8mm/16mmシネマ用レンズを中心に市場供給していた同社がスチル撮影用(35mmフルサイズフォーマット)に生産した唯一のモデルとなり、ExaktaとClaris MS-35の2種のマウント規格に対応していた。MINI-TELというレンズ名のとおり、望遠レンズにしてはとてもコンパクトな設計となっている。鏡胴は真鍮削りだしの豪華な造りで、採算が取れたのかは不明だが、製造コストはかなりのものだったのであろう。プロフェッショナル向けのレンズばかりを生産していた同社の製品の特徴をよくあらわしている。
重量(フードを含めた実測)230g, 最短撮影距離 1.8m (6feet), 絞り羽 13枚 , フィルター径 34mm(雄ネジと雌ネジの反転した特殊仕様), 純正フード付, 焦点距離 4inch(約100mm), 絞り値 F4.5--F22 , 鏡胴は豪華な真鍮削りだしのクロームメッキ仕上げで、シネレンズ顔負けの造りだ。 EXAKTAマウントとClaris MS-35マウントの2種のモデルが存在する。本品はEXAKTAマウント。Claris MS-35というレンジファインダーカメラは1946-1952年に生産されていた製品なので、このレンズの製造時期は1950年前後であろう

Elgeet光学
Elgeet社は1946年に3人の若者(Mortimer A. London, David L. Goldstein, Peter Terbuska)が意気投合し、ニューヨークのロチェスターに設立した光学機器メーカーである。LondonはKodak出身のエンジニアでレンズの検査が専門、GoldsteinとTerbuskaはシャッターの製造メーカーで知られるIlex社出身。3人は少年時代からの友人で、Elgeetという社名自体も3人の名の頭文字(L+G+T)を組み合わせてつくられた。彼らは1946年にアトランティック通りのロフトに店舗を開き、はじめレンズ研磨装置のリース業者としてスタート、すぐ後にレンズの製造と販売も手がけるようになった。会社は1952年に300人弱の従業員を抱え、数千のシネマ用レンズ(8mm/16mmムービーカメラ用)や光学機器を年単位で出荷する規模にまで成長した。この時点で3人の役職はGlodsteinが社長、Terbuskaが秘書、Londonが財務部長である。プロフェッショナル向けの廉価製品を供給するという隙間産業的なスタイルが成功したのか事業規模は順調に拡大し、1954年には米国海軍(US Navy)にミサイル追尾用レンズNavitarの供給を行うようにもなっている。更に同社は1960年頃からNASAや国防総省との関係を強めてゆくが、この頃から会社の経営はうまくゆかなくなる。同時期に筆頭創設者のLondonが退職し、その2年後に同社は一時ドイツ・ミュンヘンのSteinheil(シュタインハイル)社の所有権を獲得するが直ぐに売却。2年後の1964年には株主総会が会社の再編を勧告し、Goldsteinは社長の座を追われている。株主総会から新社長に任命されたのはAlfred Watsonという人物であるが、それから2年後に会社の資本は株式会社MATI(Management and Technology Inc)に吸収されている。なお、MATI社は1969年まで存続し消滅、Goldsteinはこの時にMATI社が保有していた資産の一部を購入し、D.O.Inc. ( 株式会社Dynamic Optics )を創設している。しかし、この新事業は軌道に乗らず失敗し、新会社は1972年に閉鎖となっている。Goldsteinは1972年に改めてD.O.Industries ( Dynamic Optics工業社 )を設立し、事業を再々スタートしている。同社は1978年にNavitarのブランド名でスライドプロジェクター用レンズを発売し、1994年には顕微鏡用ズーム・ビデオレンズの生産にも乗り出している。会社は1993年に株式会社NAVITARへと改称。1994年にはGoldsteinの2人の息子JulianとJeremyが父Davidから会社を購入し、兄弟で会社の共同経営にのりだしている。2人はどちらも日本在住の経験があり日本語を話すことができる。Jeremyは1984年と1985年に日本のKOWAに出向し、レンズの製造技術と経営技法を学んだ経験を持つ。Navitar社はライフサイエンス関連の光学機器と軍需光学製品を製造・販売するメーカーとして今日も存続している。

参考:
A History of the Photographic Lens(写真レンズの歴史), Kingslake(キングスレーク) 著
NAVITAR社ホームページ:http://www.navitar.com/company/timeline.html


入手の経緯
本レンズは2012年11月にeBayを介して米国の写真機材業者から落札購入した。商品の記述は「ガラスに拭き傷やダメージはない。比較的大きなチリが周辺部に一つある。フォーカスリングと絞りリングはスムーズで良好だ。外観はエクセレント・プラス・コンディション。マウントに問題がありExaktaのボディにキッチリとはまらない。」とのことだ。ややレアなレンズであるが、eBayでの落札相場は100ドル程度であろう。届いたレンズは僅かなホコリの混入程度の良好な状態で、チリと記載されていた部分は製造時由来の気泡であることが判った。マウント部には凹みがありEXAKTA-EOSアダプターが完全には装着できなかった。そこで、マウント部を取っ払い別のマウントに変換することにした。改造用の部品とマウントアダプターが全部で25ドル程度だったので、レンズの送料も入れると総額140ドル程度も費やしてしまった。

マウント部の変換
MINI-TELのマウント改造はとても簡単で、市販品のアダプターリングとエポキシ接着剤があればM42にもNikon Fにも簡単に変換できる。ここでは私が考えた簡単な改造法を紹介する。まずはマイクロドライバーを用いてマウント部周囲にあるイモネジを回し、マウント部を取り外す(写真1)。次にマウントを外した場所にM39-M42ステップアップ・アダプターリングを填め、その上からM42-M39ステップダウンリングを装着する(写真2)。リング装着時には鏡胴の段差がストッパー代わりになるので、光軸ずれが都合良く回避でき、ガタもなくしっかりとはまる。エポキシ接着剤でアダプターリングを鏡胴に固定すれば土台の完成である。この上から更にもう一本M39-M42ステップアップ・アダプターリングを装着し、再び土台をM42ネジに戻す。あとは各種マウントアダプターを装着するだけであるが、このままではフランジバックが短すぎてオーバーインフ仕様になってしまうので、フランジ調整リングを用いてフォーカス距離を調整する必用がある。下の製作例ではM42-Nikon Fアダプターを用いてNikon Fマウントに変換している。0.6mm弱のフランジ調整リングを挟むことで無限遠のフォーカスを、ほぼ正しく拾うことができた。

写真1:マウント部のイモネジをマイクロドライバーで外す
写真2:マウントを外した場所にM39-M42マウント変換リングを装着し土台をつくる。変換リングの鏡胴側にはM39-M42ステップアップリングを装着している












鏡胴の段差部分に変換リングが引っかかりストッパーになるため、ガタもなくピタリとはまる。あとはエポキシ接着剤で固定すれば土台の完成である。カメラ側のM39ネジにM39-M42ステップアップリングをもう一本装着し、M42ネジに変換しておく
最後に好きなカメラのアダプターを装着する。上の写真はNikonFに変換した例。必用に応じてフランジ調整リングを挟み無限遠のフォーカスを微調節する
撮影テスト
100mmの焦点距離とF4.5の口径比は戦後のトリプレット型レンズとしては無理のない手堅い設計であり、中央部の解像力とヌケの良さは大変素晴らしい。コントラストは控え目で中間階調が豊富なため、スッキリとしたヌケの良さとなだらかな階調描写が、まるで澄んだ水底を見ているかのような美しい透明感を与えてくれる。光や影の濃淡をとてもよくとらえる繊細な写りである。カラーバランスはほぼノーマルで、色ノリは良好だがコテコテした色にはならず、とてもいい具合の描写傾向である。贅沢な不満を言えば、開放でもコマやハロの目立たない堅実な収差設計のため、線の細い写りなど、それ以上のものまでは期待できないところである。トリプレットの弱点とされる周辺画質は長焦点のために問題にはならず、開放でも四隅まで良好な画質水準が保たれている。後ボケはやや硬く距離によってはザワザワと煩くなるが、グルグルボケはあまり目立たない。とてもよく写るレンズだ。

F8, EOS 6D(AWB): 古い民家に残されていた馬具; 良く写るレンズだ。トリプレットといえど長焦点レンズなので絞れば四隅まで高描写のようである。解像力は勿論高い。オールドレンズフォトコンテストに応募したうちの一枚だ


F4.5(開放), EOS 6D(AWB):  開放でもこのとおりの優れた描写力である。ヌケがよくスッキリとしている





F5.6, EOS 6D(AWB): この色の出方と階調描写は結構好きだ。ヌケが良いのに少しあっさり気味なところが、どこか透き通ったような印象を与える。濃淡変化をきっちりと拾う繊細な写りも好印象。ボケはやや硬く、トリプレットらしくザワザワとしている。長焦点レンズなのでグルグルボケが気になるほど目立つことはない
F8, EOS 6D(AWB):  階調変化がなだらかで、グラデーションがとても美しい

写りがよくて、造りも素晴らしく、希少性は高いが値段は安い。こんな美味しいレンズにはそう滅多に出会えないであろう。こういう魅力的なレンズをこれからも発掘してゆきたいと思う。