おしらせ

 
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オールドレンズ写真学校12月ワークショップ
今月は12月17日(日)の予定です。場所はみなとみらい。詳しくはこちら
既に定員オーバーのためキャンセル待ちとなっています。最近の傾向として募集開始から3日程度で定員が埋るようですので、募集開始日を事前に確認しておく事が肝心です。

2017/06/21

PETRI CAMERA Co. High-speed Petri part 4: Petri CC. Auto 55mm F1.4




ペトリカメラの高速標準レンズ part 4
ペトリの高性能フラッグシップレンズ
PETRI CAMERA Co., Petri C.C Auto 55mm F1.4 
55mm F1.8 / F2に続くペトリ標準レンズのもう一つの驚きが、1967年に登場したPETRI C.C Auto 55mm F1.4である。F1.4の明るさにも関わらず開放から目が覚めるようなスッキリとした描写でコントラストや発色も良く、デジカメで用いた場合にも色収差がほとんど目立たないなど、この時代に設計された同クラスの大口径レンズ群の中では一歩抜き出た優れた性能を実現していた[1,2]。レンズの構成は戦前のLeitz Xenon(クセノン)1.5/50 やLeitz Summarit(ズマリット)1.5/50、Contarex版Planar(プラナー)1.4/55やPancolar(パンコラー)1.4/55など名だたる最高級レンズに採用されたものと同一で、ガウスタイプの最後部(正エレメント)を2枚の正エレメントに分割し、5群7枚としている(下図)。この構成の最大の特徴は収差的にバランスを取りながらf1.4の口径比を実現でき、なおかつバックフォーカスの確保が容易なことである[6]。戦後の一眼レフカメラ用につくられた標準大口径レンズには、ほぼ例外なしにこの構成が採用された。
1970年代に入るとレンズ内で起こるハレーションを軽減させるため、後玉のコーティングがアンバー色のものからシアン色のものに変更され、シャープネスとコントラストの向上が図られた[3,5]。私が入手した今回の個体はアンバーコーティングが施されているので、コーティング変更前の前期型である。

Petri C.C Auto 55mm F1.4 構成図(文献[8]からのトレーススケッチ見取り図):最後群の正レンズを2枚に分割することで屈折力を稼ぎ各面の屈折力を緩め、コマ収差を中心に諸収差を補正しながらF1.4の明るさを実現している。後群ではなく前群側を分割するケースの方が収差的には有利だが、バックフォーカスが稼げる点は他に代えがたい大きな魅力である[6]。このレンズを設計したのは同社エンジニアの島田邦夫氏で[3-5]、島田氏はC.C Auto 55mm F1.8の通称「新型」を設計した人物でもある[4]




レンズは登場後に大手カメラ雑誌の性能試験で当時の最高レベルの成績をたたき出し[2]、1974年のカメラレンズ白書の評価記事でも優れた性能が絶賛された[7]。ただし、市場ではあまり売れなかったようで、廉価ブランドの最高級モデルという微妙な立ち位置をとる本品に対して、世間の反応は鈍かった。
標準レンズの良し悪しはカメラの売れ行きをも左右するカメラメーカーの生命線であったため、とくにペトリのような中小規模のカメラメーカーはその開発に知力を尽くし、全身全霊で取り組んでいた。このレンズや同社の55mm F1.8に優れた描写力が備わっているのは、こうした事情と無関係ではない。そして、ペトリがレンズ設計士の才能に恵まれたカメラメーカーであったことは紛れもない事実である。そのことを世間は語らずとも、レンズは今も世に語り続けているのだ。
 

参考文献・資料
[1] 例えば、この時代の代表的なレンズであるパンコラー(PANCOLAR) 55mm F1.4やプラナー(PLANAR) 55mm F1.4の描写傾向を知っている人ならば、Petri F1.4の並外れた性能がどれほど凄いものであるかを感覚として掴めるはずだ。
[2] カメラ毎日1967年12月号; カメラレンズ白書(1971年)
[3] ペトリ元社員へのインタビュー記事 2chペトリスレ 2013年5月発行/2015年6月改定
[4] ペトリ@wiki「ペトリ一眼レフ交換レンズの系譜 標準レンズ編」
[5]ペトリ@wiki「 PETRI CC Auto 55mm F1.4 」
[6] レンズ設計のすべて 辻定彦著 電波新聞社 2006年
[7] カメラレンズ白書(1974年)
[8] ペトリFA-1ブックレット
 
入手の経緯
2014年8月にヤフオクを介して北海道のカメラ屋から即決価格14400円+送料1030円にて落札購入した。オークションの記載は「カメラ専門店にて整備済の商品。鏡胴にはスレ傷がある。ガラスのコンディションは非常に良く、2~3mm程度の微かな薄い傷が1本あるのみ」とのこと。やや値が張るものの状態の良い個体はなかなか市場に出回らないので、整備済みであることを考えれば妥当であると判断し、この値段で入手することにした。届いた品は、まぁまぁ良いコンデイションであった。
Petri C.C Auto 55mm F1.4: 重量(実測) 324g , 最短撮影距離 0.6m, フィルター径 55mm, 絞り羽 6枚構成, 絞り値 F1.4-F16, フィルター径 55mm, 設計構成 5群7枚(変形ガウスタイプ), ペトリブリーチロックマウント, 後玉がやたらとデカいのが外観上の特徴。なお、レンズのガラス表面には同社が独自にコンビネーション・コーティング(C.C)と呼んでいるシングルコーティングが蒸着されている

撮影テスト
1960年代に設計されたF1.4クラスの大口径標準レンズの中で、ここまで安定感のある描写性能を実現した製品は、なかなか見当たらないだろう。この時代の同クラスのレンズは大方どれも収差の嵐に見舞われるのが当たり前で、開放ではピント部にさえモヤモヤとしたコマフレアが出るし、ボケの乱れっぷりも時に激しく容赦のないものとなる。このクラスのレンズをうまく使いこなすには、レンズの性質をよく理解し、収差との付き合い方や活かし方を自分なりに会得する必要があると日頃から思っていた。ところが、今回のレンズはそうした固定観念を打ち崩すものとなった。開放からスッキリと良く写り、オールドレンズの上級者でなくとも充分に使いこなすことのできる、扱いやすいレンズなのである。
開放での描写性能は手放しで絶賛できるレベルだ。フレア量は同クラスのレンズの中でも抜群に少なく、肌の質感表現などに絶妙な柔らかさを残しながらもコントラストやヌケの良さは高い水準を維持しており、発色も良い。解像力はお世辞にも高いものとは言えないが、カラーフィルム撮影で用いるには充分な水準をクリアしている。背後のボケに硬さはなく、大きく柔らかくボケるなどバランスが重視されており、同社の55mm F1.8/F2クラスのレンズでみられるような過激なセッティングとは異なる設計理念を感じる。レンズの個性が際立つポートレート域においても、グルグルボケや放射ボケなどが目立つことは無い。自分は普段あまり気にすることはないが、歪み(歪曲収差)についても、とても良く補正されている。弱点を強いて挙げるとすれば、逆光撮影時に見られる円弧状のフレアであろう。ここは、うまく活かす方法を会得する必要がある。
今回取り上げたペトリ C.C Auto 55mm F1.4は安定感のある穏やかな画質を得ることのできる、F1.4クラスとしてはとても扱いやすいレンズである。作例どうぞ。
F2.8, sony A7RII(WB:晴天→画質補正) よく写る!とはいっても、この写真は補正を入れている。補正前の元画像(JPEG撮って出し)も下に示す




F2.8, sony A7RII(WB:晴天) 色乗りはバツグンによいし、コントラストやシャープネスもこのクラスの明るいレンズにしては非常に優秀だ

F1.4(開放), sony A7(S.Shiojima): ピント部の解像力はせいぜいこのくらいだが、F1.4としてはまぁまぁの水準ではないだろうか


F1.4(開放),  sony A7(S.Shiojima): ピント部間際の前方でグルグルボケを観測できる。像面を曲げて背後のボケを綺麗に見せる設計のようだ




F4, sony A7Rii(WB:晴天) 発色傾向は同社のF1.8とは異なりクールトーンな印象をうける。ここから更に深く絞ると、ボケが少し硬くザワザワとしはじめる

F1.4(開放), sony A7RII(WB:晴天)続いて開放でのポートレート。素晴らしい。肌の質感表現には絶妙な柔らかさがあり、一方でコントラストやヌケの良さは十分なレベルを維持している。ボケもなかなか綺麗。このレンズは落としどころが見事だ!




F1.4(開放), sony A7RII(WB:晴天) 開放F1.4でここまで写るとは思っていなかったので、正直なところ非常に驚いた。ただし、逆光には弱く、開放からF2までの絞りでは、このような円弧状のハレーションが出る。これが鏡胴内の光の反射であることが明らかにされ、対策として1970年代の後期モデルからは後群のコーティングが見直されている。ちなみに、本レンズは改良前の前期モデルである



2017/06/13

illumina Opt. illuminar (試作品) 25mm F1.4(C-mount) Rev.2


イルミナーをAPS-C機で試す
illumina opt. illuminar ペリドット(試作品) 25mm F1.4 x fujifijm x-pro1
「宝石レンズ」の異名を持つイルミナー(illuminar)は、内部に埋め込まれた「宝石」の輝きを写真に活かす、全く新しい発想から生み出されたレンズです。宝石を通り抜け乱反射する光からは幻覚にも似た素晴らしい写真効果が得られるため、カメラ女子を中心に今にもブレークしそうな兆候が出始めています。本ブログでは昨年10月にレンズの試作品を手に入れ記事として取り上げましたが[1]、ここ最近になってデジカメWatchの連載記事「デジカメドレスアップ主義(澤村徹さん執筆)」にも取り上げられ、注目度はますます上昇しています[2]。今回のブログエントリーではAPS-Cセンサーを搭載したミラーレス機でのイルミナーの使い方と実写結果について、まとめることにしました。

供給元のイルミナオプトはレンズを使用するカメラとして、オリンパスやパナソニックなどのマイクロフォーサーズ機を推奨しています[3]。マイクロフォーサイズ機で使用した場合、写真の四隅が暗くなる「周辺光量落ち」のバランスが絶妙で、とても印象的な写真が得られるという理由からです。一方、一回り大きなAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラでは光量落ちが過度になり、四隅がトンネル状に切り取られ、完全なダークコーナー(暗角)になってしまいます。しかし、この問題を回避する方法がありました。FUJIFILMやEOS Mシリーズなど一部のAPS-C機ではカメラの設定メニューで写真のアスペクト比を変え、画像の四隅を切り落とすことができます。たとえばアスペクト比を1:1に変えてやれば写真の対角線長は22mmとなり、マイクロフォーサーズセンサーの対角線長21.6mmとほぼ同等なので、問題なく使用できるわけです。ただし、周辺部光量落ちの様子には若干の差異が生じるはずですから、実写による検証は不可欠です。アスペクト比1:1での撮影結果についてはイルミナオプトにもデータがなく、是非とも検証してほしいそうです。

今回の記事ではFUJIFILMのAPS-C機X-PRO1をアスペクト比1:1の設定で用いて、イルミナー(ペリドット)とカメラの相性をチェックしてみました。カメラへの装着にはCマウントレンズ用のアダプター(C-FX アダプター)を介しています。

参考文献・資料
[1] M42 MOUNT SPIRAL: 2016.10.25ブログエントリー
[2] デジカメWatch連載記事「デジカメドレスアップ主義(澤村徹さん執筆)」:フレアが弾ける宝石レンズ
[3] illumina opt. illuminar lens公式ページ

F2.8, FUJIFLM X-Pro1(WB:蛍光灯1, アスペクト比1:1) イルミナー(ペリドット)では波紋状の乱反射が発生する。イルミナー(アメジスト/ブルートパーズ)では見られなかった効果だ


F2.8, FUJIFILM X-PRO1(AWB,  アスペクト比1:1) 周辺光量落ちの様子はマイクロフォーサーズ機での使用時ほど絶妙ではないものの、悪くないレベルだ

F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) 蛍光灯の光に反応し、宝石色(緑色)に「色被り」を起こしている

FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) イルミナー(ペリドット)は乱反射が強めに出るのが特徴で、このような波動状の発行体が出せる

F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) ペリドット凄し!
F1.4(開放), FUJIFILM X-PRO1(AWB, アスペクト比1:1) フレアは四隅にモスグリーンのような色で発生する
上の写真作例から明らかなように、APS-C機でもイルミナーを充分に活用できることがわかります。アスペクト比を1:1に変更することでローライフレックスやハッセルブラッドなど大昔の中判カメラで撮ったものと同じ真四角の写真になっています。この場合、縦も横もありませんので人により好き嫌いがハッキリと分かれるのではないかと思われます。私は勿論、真四角の写真も大好きです。インスタグラムとの相性はとてもよいでしょう。

イルミナーは2017年6月1日の正式版の発表とともにホームページが開設され、現在は6月20日の発売にむけ準備が進められているそうです[3]。鏡胴のバリエーションはシルバーとブラックの2種で、購入者はホームページ上の選択メニューでアメジスト、ブルートパーズ、ペリドットの3種類の天然石のいずれかを選択し、イルミナオプトに改造依頼を申し込みます。価格は1本19800円(税抜き)です。本記事を書く段階では製品版がありませんでしたので、撮影テストには試作品を借用しました。

2017/06/09

Old Lens Photo School Photo Exhibition vol.3 2017

 
今年も原宿のデザインフェスタでオールドレンズ写真学校のグループ展が開催され、私も出展しました。3月に伊豆大島で撮影した下の写真です。次は10月か11月との噂。沢山の方にご来場いただき、ありがとうございました。たのしかったです。
 



イベントもやってました。詳しくはこちら