おしらせ

 
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オールドレンズ写真学校11月ワークショップ
今月は11月23日(祝)に井の頭自然文化園で開催されます。すでに申し込みが殺到し、定員オーバーのためキャンセル待ちになっているようです。

オールドレンズ女子部
12月2日(土) 東京ドームシティ イルミネーション撮影散歩&お茶会 詳しくはこちら

2010/09/09

あった!無限遠にもピントが合うEXAKTA-EOSマウントアダプター

ネットオークションで購入した中国製のEXAKTA-EOSマウントアダプター。材質は左がアルミニウムで右は真鍮。どちらの製品もeBayの商品解説では無限遠方のピントを拾うことを保障しているが、著者が購入しテストした品では合焦不可能だった

本ブログではeBayやヤフオクからM42マウント用レンズを入手して紹介しているが、代わりにEXAKTAマウント用レンズで代用することがある。この時に活躍するのがEXAKTA-EOSマウントアダプターで、その名のとおりEXAKTAマウント用レンズをキャノンEFマウントに変換し、EOSのカメラ本体に装着するための道具だ。そもそも、EOSのフランジバック(レンズのマウント面からフィルム面や撮像素子面までの距離)は44mmであるのに対し、EXAKTAのフランジバックは44.7mmと若干長いことから、アダプターを用いて0.7mmの厚みを埋めてやれば、EXAKTAマウント用レンズがEOS本体でも使用できるというわけ。ちなみにEOSのレンズをEXAKTAのカメラ本体で使用するという逆の操作は物理的に不可能だ。
さて、0.7mmの厚みを持つマウントアダプターを製造するのは耐久性の観点からかなり難しい。このため市販されている多くのアダプターは0.7mmよりもやや厚めに設計されている。つまり、無限遠方まではピントが合わないのだ!。どうにか無限遠方のピントを拾うダプターを探し出すことはできないものかとeBayをあてもなく徘徊し、やっと見つけることができた。
こちらが無限遠までのピントを拾うことに成功したマウントアダプター。eBayでは30㌦程度の安価な値段で売られている。35mm, 40mm, 135mmの3種類のレンズで合焦に成功した
EXAKTA-EOSマウントアダプターは中国製の品が多く流通しており、日本製の品もKindaiインターナショナルから発売されている。素材は耐久性の高い真鍮製(銅+亜鉛の合金)のものと、アルミ製の2種類があり、値段も安いものでは18㌦程度から揃っている。その幾つかは無限遠点への合焦を保障しているので、「ホンマかいな?」と保証品を片っぱしから購入し検査してみた。その結果、衝撃の事実が判明したのだ。高い剛性を誇る真鍮製のアダプターでは、どれ一つとして無限遠のピントを拾うことがなかった。中には何と約3m先までしか合焦しない品もあり、そんな品が「無限遠までピントが合うことを保障します」と明記され、普通に売られているのだ。勿論、製造精度からくる個体差という可能性もあったのかもしれない。ちなみにkindaiインターナショナルのアダプターも真鍮製だが、この品の説明書には、やや無限遠が出ないため絞り込んで撮影してくれと明記されている。焦点距離ごとに何㍍先までピントを拾うのかが詳しく記されていた。中国製のNG商品に対して出品者に問い合わせ、返品の要請と無限遠が出ないことを告げると、レンズの側の問題の可能性を指摘してくる場合があった。手元にある焦点距離35mm、40mm、135mmのレンズの全てで無限遠が出ないと抗議すると、すんなり返品に応じてくれた。こうして、しばらくのあいだ購入と返品を繰り返していたところ、市販品の中に無限遠の出るアダプターを見付け出すことができた。前述の3種類のエキザクタマウント用レンズに対して、EOS kiss x3においてきちんとピントを拾ってくれたのだ。
ノギスで厚みを測ると0.65mm。EOSとEXAKTAのフランジバック差が0.7mmなので、これで無限遠に届いている


追伸
この記事はAPS-C規格のカメラに装着することを前提に記載しています。無限遠方のフォーカスを拾えるEXAKTA-EOSアダプターはフルサイズ機のEOS 5D/6Dで間違いなくミラー干渉します。ご注意ください。

2010/09/05

Schneider-Kreuznach JSOGON 40/4.5アイソゴン

40mm準広角レンズ第二弾
シュナイダー社初の一眼レフカメラ用広角レンズ
1950年頃の一眼レフカメラ用広角レンズには40mmの焦点距離を持つ準広角レンズが数多く存在した。Carl Zeiss Jena社のTESSARをはじめ, MeyerのHELIOPLAN,  KilfittのMAKRO-KILARなど各社から4枚玉のレンズが供給されていた。今回とりあげるJsogon(アイソゴン[注1])40mm/F4.5もそのうちの一本で、名門Schneider-Kreutznach社が1951年に製造した準広角レンズだ。製造本数は僅か725本と稀少性が高い。このレンズの光学系についてはトリプレットやテッサーという説もあるが、そうだとすれば同社のRadionarやXenarと被る。他には4枚構成という説もありWEB上には4群4枚という踏み込んだ情報もみつかる。この時代に3群のテッサータイプではなく4群4枚の設計をとるのは画質的に不利なので不自然だが、情報が極めて乏しいので光学系の詳細については完全にお手上げ状態だ。本品はCarl Zeiss Jena Tessar 40mmに次ぐKine-Exakta用に供給された広角レンズの第二号だそうである。
鏡胴は真鍮製クロームメッキ仕上げで、コンパクトながらも手に取るとズシリとした重量感が伝わってくる。前玉がフィルター枠よりもだいぶ奥まったところに位置しており、鏡筒がフードとしての役割を兼ねている。Jsogonというブランド名も焦点距離40mmのレンズもこのレンズ一代限りで姿を消し、同社のその後の一眼レフ用広角レンズはレトロフォーカスタイプで供給されている。

[注1] JSOGONとかいてアイソゴンと読むそうだ。ドイツ語にはJとIの読みが入れ替わることがあり、例えばエキザクタで有名なイハゲー社はJHAGEEと書く。

絞り羽根は8枚構成, 焦点距離40mm, 絞り値:F4.5-F16, 重量(実測):272g, 最短撮影距離:0.5m, 絞り機構はプリセット。対応マウントはEXAKTAとM42

★入手の経緯
本品は2010年3月にeBayを介し、米国ラスベガスの中古業者から120㌦の即決価格で落札購入した。オークションの解説には「クモリ入りだが鏡胴は新品の様に綺麗な状態」とあった。クモリ取りの修理に出せば元が取れるだろうと考え、思い切って購入してみた。Jsogonは名門シュナイダーの珍品とあって本来の中古相場はかなり高く、eBayでは状態の良い品が400~500㌦、クモリ玉でも250~300㌦で売られている。
商品は1週間後に届いた。ガラス面は確かに白濁していたが鏡胴はピカピカで、外観は経年を考えれば奇跡としかいいようのない状態であった。どうか良くなりますようにと願をかけて修理業者に持ち込み、その2週間後に修理から返ってきたが、残念ながらクモリを完全に除去することはできずガラスの表面にプツプツと薄いクモリが残ってしまった。ガラス面の傷を埋め合わせるだけの簡易的な施術では、このあたりが限界なのであろう。完治させるにはガラスの研磨とコーティング皮膜の蒸着ができる特別な業者に持ち込んで、本格的な修理を行うしかないようだ。
★撮影テスト
今回入手したJSOGONは本来の光学性能が発揮できない個体だ。クモリが描写に与える影響としては以下の2つが考えられる。
①ガラス面での光の透過率が低下しフレアが発生
クモリの正体であるガラス面上の小さな傷によってレンズに入ってきた光が乱反射し、その一部がレンズ内で全反射を繰り返しながら留まる。こうして生じた内面反射光の蓄積がフレアとなる。画質面においては暗部が白っぽく浮きあがりコントラストが低下するという影響がでる。メリハリのない解像感の乏しい結果を招くこともある。この影響を軽減させるためにはフードをつけてしっかりハレ切りをおこない、深く絞って撮影する必要がある。

②ガラス面での光の屈折率が変化し鮮明感が落ちる(結像がソフトになる)
ガラス面上のクモリが発生している場所では光の屈折率が変化してしまう。そのため、各収差の補正計算に狂いが生じ、結像が不鮮明になるなどレンズが本来持っている光学性能を発揮できなくなる。深く絞って撮影すれば画質は少し改善するものの効果は限定的。
これらの影響を加味した上で、以下では深く絞った作例を提示し、JSOGONが持っている100%の状態を想像してみたい。深く絞ればコントラストは改善し暗部は落ち着きを取り戻すが、依然として鮮明感の乏しいソフトな描写が予想される。ソフトフォーカスレンズとして使用するには好都合だ。
F8 これくらい深く絞れば屋外での撮影においてもフレアは気にならないレベルで、コントラストの高さは充分だ。階調変化のなだらかさが乏しく、暗部でストンと落ちる硬質な描写だ。周辺部の結像はクモリの影響でポワーンと甘く不鮮明

F8 晴天時に遠景を撮影したところフレアが発生しシャドー部が明るく白っぽくなってしまった。深く絞っているものの結像はソフトだ。ここは木々の中を電車が駆け抜けるように見えるお気に入りの場所

 
F11 日没後の綺麗な空。こういう黒主体でコントラストの高いケースにおいては、光の内面反射(フレア)を逆手に利用して黒潰れを防止するなんてことができるのかもしれない

恐らくクモリがなければ鋭い描写と力強い発色を武器とする優秀なレンズなのであろう。クモリを完全に除去するには、ガラス面の研磨とコーティング皮膜の蒸着ができる高度な技術をもった業者に修理をおねがいするしかない。日本でこの技術を持つ業者は私の知る限り数カ所しかない。予算的には最低でも1.5万円~3万円程度はかかる。業者によってはレンズ径が1.5cm以上ないと修理できない場合があるようだ。

★撮影環境
SONY NEX-5 + Schneider Jsogon 40/4.5 + Hakuba Rubber Hood + EXAKTA-EOS Adapter + EOS-NEX adapter(RJ Camera)